500形・600形・700形は、1886年に輸入された形式J(400形)が期待どおりの成績を示したことを受け、1897年からその改良型として増備されたものである。形式Jの軸重が8.48tと当時の許容軸重11tに対して余裕があったことから、運転整備重量とシリンダ寸法を増大して、牽引力を増すこととなった。
これらの形式は、1909年に制定された鉄道院の車両形式称号規程により定められたもので、鉄道作業局時代の形式を採ってA8系と呼ばれる形式群の基幹形式である。官設鉄道が輸入したものばかりでなく、私鉄が輸入し、国有化によって官設鉄道に編入されたものも含まれる。形式の区分は、旧所属鉄道に関わりなく製造メーカーによってなされており、500形はダブス社(Dübs & Co., Glasgow Locomotive Works)、600形はナスミス・ウィルソン社、700形はバルカン・ファウンドリー社 (Vulcan Foundry Co., Ltd.) で、いずれもイギリスのメーカーである。両数は、500形が61両、600形が78両、700形が18両である。
主要諸元 [編集]
(500形500?508の諸元を示す)
全長:9558mm
全高:3607mm
軌間:1067mm
車軸配置:2-4-2 (1B1)
動輪直径:1321mm (4'4")
弁装置:ジョイ式基本形
シリンダー(直径×行程):356mm×508mm
ボイラー圧力:9.8kg/cm?
火格子面積:1.11m?
全伝熱面積:67.3m?
煙管蒸発伝熱面積:60.8m?
火室蒸発伝熱面積:6.5m?
ボイラー水容量:2.4m?
小煙管(直径×長サ×数):45mm×2966mm×147本
機関車運転整備重量:40.06t
機関車空車重量:31.28t
機関車動輪上重量(運転整備時):28.05t
機関車動輪軸重(最大・第2動輪上):13.24t
水タンク容量:4.5m?
燃料積載量:1.14t
経歴 [編集]
官設鉄道(日本鉄道、水戸鉄道、両毛鉄道、甲武鉄道) [編集]
官設鉄道では、1887年に7両がナスミス・ウィルソン社に発注され、翌年からは同じくイギリスのダブス社にも発注された。前者は1890年までに34両、後者はとして1892年までに30両が製造されている。官設鉄道における製造の概要は次のとおりである。
ナスミス・ウィルソン社製(計34両)
1887年(7両)
82,84,109,111,113,115,117 - 製造番号326?332
1888年(9両)
119,121,123 - 製造番号333?335
137,139,141,143,86,88 - 製造番号342?347
1889年(6両)
157,159,161,163,165,167 - 製造番号383?388
1890年(12両)
169,171,173,175,177,179,181,183,185,187,189,191 - 製造番号390?401
ダブス社製(計30両)
1888年(12両)
125,127,129,131,133,135 - 製造番号2353?2358
90,92,94,96,98,100 - 製造番号2410?2415
1889年(6両)
145,147,149,151,153,155 - 製造番号2527?2532
1892年(12両)
197,199,201,203,205,207,209,211,213,215,217,219 - 製造番号2868?2879
奇数番号は新橋所属(48両)、偶数番号は神戸所属(16両)であるが、新橋所属のうちの31両(この書体で表示)は、日本鉄道をはじめ、その支線格である甲武鉄道、水戸鉄道(初代)、両毛鉄道に振り向けられている。141,143(2両)が甲武鉄道、131,133,135(3両)が水戸鉄道、123,125,127,165,167(5両)が両毛鉄道の所属であったが、両毛鉄道の123,125,127は官設鉄道に戻り、1892年に水戸鉄道、1897年に両毛鉄道の分が、合併により日本鉄道に移っている。
1891年には、1890年バルカン・ファウンドリー製の同形車2両が、山陽鉄道から官設鉄道に譲渡され、193,195となった。山陽鉄道が購入したA8系は複雑な経歴を経ているが、それについては、後述する。
1892年に日本鉄道が独立したのにともなって、1894年5月に日本鉄道および両毛鉄道(該当車は下線を付す)および甲武鉄道所属車の改番が行なわれ、日本鉄道ではダブス社製はD2/4形、ナスミス・ウィルソン社製はW2/4形とし、甲武鉄道ではK1形とした。
同時に官設鉄道でも機関車の正式移管にともなって生じた欠番を埋める形で改番が行なわれており、こちらはダブス社製を形式K、ナスミス・ウィルソン社製を形式L、バルカン・ファウンドリー社製を形式Mとしたが、1898年の鉄道作業局の形式では、3種を統合してA8形となった。1902年に再度改番が行なわれ、3社製造分を通番の850?884にまとめている。番号の新旧対照は、次のとおりである。
官設鉄道
90,92,94,96,98,100,125,127,129,145,147,149,151,153,155,197,199,201,203,205,207 → 形式K 65?68,70,72,89,91,93,98?100,102,104,106,129,131,133?136 → A8形 864?884
82,84,86,88,121,123,127,169,171,173,175,177,179, → 形式L 59,61,62,64,85,87,112?116,118 → A8形 850?861
193,195 → 形式M 125,127 → A8形 862,863
日本鉄道・両毛鉄道
109,111,113,115,117,119,137,139,157,159,161,163,165,167,181,183,185,187,189,191 → W2/4形 31?36,40?45,46,47,48?53
131,133,135,209,211,213,215,217,219 → D2/4形 37?39,66?71
甲武鉄道
141,143 → K1形 1,2
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